適応障害は、ストレスとなる出来事に対する情動反応を特徴としており、その出現の仕方は多彩です。例えば、精神面では抑うつ、不安、イライラなど、行動面では攻撃的になる、自暴自棄になる、引きこもる、暴飲暴食するなど、身体面では胃痛、嘔気、喉がしめつけられる感じ、めまい、頭痛等々です。ストレス因子としては、対人関係、経済的問題、身体疾患などが関与しやすいです。
精神科外来で最も多い疾患のひとつであり、また身体疾患もストレス因子になりやすいことから、内科や外科などから精神科に紹介されることも多い疾患です。
一般人口における有病率は5%前後です。女性は男性の約2倍ですが、小児期や青年期では男女差がなく、独身女性が最もリスクが高いようです。遺伝的な要因もあり、ストレス因子や症状形成には部分的な相関があるようです。
診断は臨床症状のみで行うため、高い信頼性で診断するための国際的な診断基準(操作的診断基準)が設けられています。
ここでは、「DSM-5」の診断基準を元に、簡易にしたものを紹介します。以下のチェック項目を見てください。
※上記A~Eを満たすと適応障害と診断されます。
※米国の代表的な精神医学の教科書であるカプランを基に、各精神疾患について解説します。