大森こころクリニック

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適応障害

適応障害について

適応障害

適応障害は、ストレスとなる出来事に対する情動反応を特徴としており、その出現の仕方は多彩です。例えば、精神面では抑うつ、不安、イライラなど、行動面では攻撃的になる、自暴自棄になる、引きこもる、暴飲暴食するなど、身体面では胃痛、嘔気、喉がしめつけられる感じ、めまい、頭痛等々です。ストレス因子としては、対人関係、経済的問題、身体疾患などが関与しやすいです。

精神科外来で最も多い疾患のひとつであり、また身体疾患もストレス因子になりやすいことから、内科や外科などから精神科に紹介されることも多い疾患です。

疫学

一般人口における有病率は5%前後です。女性は男性の約2倍ですが、小児期や青年期では男女差がなく、独身女性が最もリスクが高いようです。遺伝的な要因もあり、ストレス因子や症状形成には部分的な相関があるようです。

診断

診断は臨床症状のみで行うため、高い信頼性で診断するための国際的な診断基準(操作的診断基準)が設けられています。
ここでは、「DSM-5」の診断基準を元に、簡易にしたものを紹介します。以下のチェック項目を見てください。

  1. はっきりと確認できるストレス因に反応して、そのストレス因の始まりから3ヶ月以内に情動面または行動面の症状が出現
  2. これらの症状や行動は臨床的に意味のあるもので、それは以下のうち一つ以上の証拠がある
    1. ストレス因に不釣り合いな著しい苦痛がある
    2. 社会的な機能の重大な障害がある
  3. そのストレス関連症状は他の精神疾患の診断基準を満たしておらず、またすでに存在している精神疾患の単なる増悪でもない
  4. その症状は正常の死別反応ではない
  5. そのストレス因が終結すると、その後その症状が6ヶ月以上持続することはない

※上記A~Eを満たすと適応障害と診断されます。

治療

1.薬物療法
出現する症状に応じて選択します。不安、焦燥、パニック症状などには抗不安薬、精神病症状には抗精神病薬、心的外傷による抑うつ等には抗うつ薬、などです。慢性疾患であるうつ病などと比較すると、薬の使用期間は短期ですむ場合が多いです。
2.心理社会的治療
外来での支持的精神療法、ストレス因を除去するための環境調整の他、ストレス対処能力の向上、ストレス反応に対する認知療法、行動療法などが有効です。

※米国の代表的な精神医学の教科書であるカプランを基に、各精神疾患について解説します。